糸リフトは将来たるみが悪化しますか?

― エビデンスと実際の臨床から考える ―

糸リフトを検討されている方から、

「将来、たるみがひどくなりませんか?」
「何回もやると逆に悪くなるのではないですか?」

といったご質問をいただくことがあります。

とても重要なテーマなので、
今回はエビデンスと実際の臨床の両面から整理してお伝えします。


結論|現時点で悪化を示す明確なエビデンスはない

まず結論からお伝えすると、

糸リフトによって将来的にたるみが悪化するという
明確なエビデンスは現時点ではありません。

海外のレビュー論文においても、

・吸収性の糸(PDO、PLLA、PCLなど)は体内に残らない
・重大な長期合併症は比較的少ない

とされており、安全性については一定の評価がされています。


ただし、長期データは十分とは言えない

一方で、

5年、10年といった長期的なデータはまだ十分とは言えません。

・比較的新しい治療であること
・素材や手技が進化していること
・施術方法による差が出やすいこと

といった背景があります。


糸リフトは“やった方がいい治療”なのか

ここまで少し慎重な話をしてきましたが、

現時点の医療の中では、

糸リフトはたるみ治療の選択肢として、
有効性の高い治療の一つと考えられています。


特に、

・フェイスラインのもたつき
・軽度〜中等度のたるみ
・切開までは考えていないケース

においては、

変化を実感しやすい治療でもあります。


ただし重要なのは、

「やれば良くなる治療」ではなく、
「適切に行えば効果が出やすい治療」である
という点です。


「悪化した」と感じる理由

ではなぜ、

「悪化したように感じる」という声があるのか。

臨床的には、主に以下の理由が考えられます。


① 元の加齢変化に戻っている

糸リフトの効果は時間とともに落ち着いていきます。

その過程で、

元々の加齢変化の流れに戻っているだけにも関わらず、
「前よりたるんだ」と感じることがあります。


② 一度上がった状態が基準になる

施術によって引き上がった状態を経験すると、

その状態が基準になります。

そのため、

元の状態に近づいたときに、以前より悪く見えてしまう
ということが起こります。


見え方に差が出るもう一つの理由

ここは臨床的にとても重要なポイントです。


糸リフトは、

どこをどのように引き上げるかによって、
仕上がりの印象が大きく変わる治療です。


例えば、

フェイスラインのもたつきに関わるジョールファットを
適切に扱えていない場合、

・糸リフト後の方がフェイスラインのもたつきが気になる
・コケが強調されて見える

といった現象が起こることがあります。


これは、

糸リフトそのものの問題というよりも、

糸を入れる位置や設計による影響が大きい部分です。


つまり、

「悪化したように見えるケース」の中には、

引き上げるべきポイントに対して
適切なアプローチがされていないことによる見え方の変化

が含まれていることがあります。


本当に注意すべきポイント

糸リフトにおいて問題になりやすいのは、

・無理に強く引き上げる
・適切でない位置にテンションがかかる
・短期間で繰り返す

といったケースです。


こういった場合には、

・組織へのストレス
・不自然な変化
・違和感の残存

といったリスクが出る可能性があります。


私が大切にしている考え方

糸リフトは、

「やること」そのものではなく、

どのように設計するかが結果を大きく左右する治療だと考えています。


私は、

・やりすぎないこと
・無理に引き上げすぎないこと
・どこをどう動かすかを重視すること

を前提に治療を行っています。


たるみ治療は“流れ”で考える

たるみは一度の治療で終わるものではなく、

加齢とともに変化していきます。


そのため、

「どれだけ上げるか」ではなく、

どの流れで整えていくか

が重要になります。


最後に

糸リフトについて、

「将来悪化するのではないか」という不安は、
とても自然なものだと思います。


現時点では、

・悪化を示す明確なエビデンスはない
・ただし長期データは限定的

というのが正確な理解です。


その上で、

糸リフトは

設計によって仕上がりの印象が大きく変わる治療でもあります。


私は、

「どれだけ変えるか」ではなく
「どこで止めるか」
そして
「どのバランスで整えるか」

を大切にしています。


無理のない形で、
長く続けていける治療であること。

それが結果として、
自然で安定した変化につながると考えています。

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